レザボアドッグスだが、話自体は単なるチンピラ映画ではあるのだけど、何度かじっくり見てみるとやはり、タランティーノの処女作だけあって価値の高い作品だ。
タランティーノ自身が演じるブラウンだが、一番みっともないダサい役だけども、役者というものはこういう役は敢えてやりたがらないだろうか、それを監督が自分で演じた、と言えなくもない。パルプフィクションでも同じなのだろう。
ブラウンを殺したのは潜入捜査官のオレンジだった。映像として見せてはいないが他には考えられない。
オレンジはまた、たまたま巻き込まれた民間人を殺してしまった。これもくどくど説明されていないが、反射的に殺してしまったのだろう。
ブラウンはさらにブルーも殺したとされているのだが、これはそもそもまったく映画の中で描かれてない。最終的にざっくり省略したのだろう。そもそもこの作品は強盗がダイヤモンドの卸を襲撃して奪うという筋書きであるのにその強盗シーンはさくっとカットしてあり、時系列もパルプフィクションと同じくわざとバラバラにしてあり、見せるところ、撮るところを大胆に取捨選択して順番を入れ替えている。ぼーっと見ているとかなりわかりにくいところもある。映画館で一度見ただけではわかるまい。映画館で見るなら何度か繰り返し見る必要がある。DVDならスロー再生したり、コマ送りしたりしないとわからないシーンも多い。そういう意味では『カメラを止めるな』に近い。
ブロンド役はキル・ビルに出てきた、ビルの弟役。
ピンクは最後まで生き残り、ダイヤモンドを持ち逃げすることに成功した、という解釈なのか。それとも外で張り込みしていた警察に結局は捕まったのだろうか。いろいろと裏設定はあるらしいが、すべてが説明されているわけではない。
ゲイとか黒人とか、今のポリコレ時代にはもう二度と作れないようなゲスい映画ではあった。