新勅撰和歌集・岩波文庫版

戦後の版だけあって校訂・解題ともに至れりつくせり。

歌は、なんとも退屈で眠くなる。

藤原定家一人で選定していて、勅撰を指示した後堀河上皇も完成前に死去しており、
いったいぜんたいどういう目的でどういう基準で選んだのか。
ていうか、「新勅撰」という名前がまるでやる気を感じない。
定家の晩年の趣味を反映しているというが、単にやる気がなかっただけなんじゃないのか。

新古今と新勅撰の間には承久の乱があったわけで、
新古今は狭いながらも活発なコミュニティに属するさまざまなタイプの歌人らが、
好き勝手に歌いたいうたを歌っている。
しかし、新勅撰はまるでお通夜のようだ。

解題に言う、「必ずしも無気力蕪雑な集として、一概に軽視すべきでないように思われる」と。
つまり、一般にはやはり新勅撰は「無気力蕪雑な集」だと思われていたわけだ。

> あきこそあれ人はたづねぬ松の戸をいくへもとぢよつたのもみぢば 式子内親王

やはりかなり屈折した歌。
どこかスナックのママが言ってもおかしくないセリフ。
飽き(秋とかける)てしまったのだろう。人は尋ねてこない。松(待つとかける)の戸を何重にも閉じてくれ、蔦のもみじ葉よ。
という歌。
引きこもりの歌。
やはりこの人はあまり人付き合いはうまくなかったのではないか。
定家の趣味とはやはりかなり離れているように思うが。

> 夢のうちもうつろふ花に風吹きてしづ心なき春のうたた寝 式子内親王(続古今)

やはりこの人は寝ている。
一人で寝ているイメージしかわいてこない。

追記: 読んでるとじわじわ面白くなってくる。

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