大正の頃に歌道普及会というところから新派なんだか旧派なんだかよくわからない立ち位置から和歌の本がいくつか出ている。著者や編者が書かれていないので誰が書いたのか不明だが、かなりものを書き慣れた人だろう。明治以前の和歌については漠然とした知識しかない。つまり平安時代から江戸時代までは単なる教養として和歌を詠んでいた、というような雑なイメージしか持っていない。出版社は東盛堂。ここから本を出している人で、黒法師とか匿名とかで本を書いている人がいてこの人があやしい。渡辺霞亭という人のようだ。
かちかちの 山のたぬきは 焼け死にぬ 悪事をなせる 報いなりけり
こんなものを和歌だと言っていたり、和歌は平安朝以来明治初年まで娯楽の文芸として取り扱っていたため、などと書いていたり、どうも歌というものがよくわかっているとは思えない。『和歌の作りやう』という本に「同人」とか「読人知らず」で出ているのがこのひとの歌かもしれない。
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