> しづのめが降り立つ小田の水かがみ見るひまもなく取る早苗かな
> 雪ならばとひこし人のあとも見む木の葉に埋む庭の通ひ路
> 契りしは昔なりけり思ひ寝の夢には絶えぬ人の面影
> つらくのみ過ぎこし方を忍べとや憂きひとり寝に立てる面影
> 雪ならばこずゑにとめて明日や見む夜のあられの音のみにして
よみ人しらず
> あはぬ間にいかに恨みの多かりきこよひは何を語りあかさむ
かへし
> よしさらばくらべかこたむあはぬ間の恨みの数はいづれまさると
> あふことを夢なりけりと思ふにもさめしうつつぞ苦しかりける
> 契りあれば夢にもあふと思ふにぞさめしうつつのたのみなりける
> もえわたる沢の蛍を憂き人に見せばや身にも余る思ひと
> こひこひてまた一とせも暮れにけり涙の氷あすやとけなむ
最後の歌は14才(満で12か13才)の時の歌というから、なんとも早熟だ。
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