亦不知其所終 田中久三 aka 田中紀峰のサイト。

俊成2

04.21.2012 · Posted in 和歌

山桜散りに光を和らげてこの世に咲ける花にやあるらむ

いいねえ。「この世に咲ける花にやあるらむ」。しびれる。

つくづくと濡れそふ袖におどろけば降るとも見えで春雨ぞ降る

いいねいいね。「降るとも見えで春雨ぞ降る」。すごく良い。 同語反復がうまく効いている。 これも初句不要。七五七七のほうがしまりがあるだろう。

花の散る山川堰ける苗代に賤が心も満つべかりけり

普通?

すみれ咲く浅茅が原は踏み分けて問ふ人無きもさもあらばあれ

「問ふ人無きもさもあらばあれ」。いいなあ、こういうすっとぽけた言い方する人だったのだなあ。

志賀の山松にかかれる藤の花浦のさざ波越すかとぞ見る

叙景のようだが、しかしあり得ん誇張された光景だわな。

藤の花雲にまがひて散る下に雨そぼ降れる夕暮れの空

いにしへをしのぶ心をそふるかな御祖の杜ににほふたちばな

我が魂もあくがれぬべし夏虫の御手洗川にすだく夕暮れ

あはれさを人見よとても立てざらむけぶり寂しき賤が蚊遣り火

野辺に置く同じ露とも見えぬかなはすの浮き葉に宿る白玉

思ふこと今はみな尽き果てぬらむ御手洗川にみそぎしつれば

眺むれば心さへこそあくがるれしぐるる頃のむらくもの空

なぞやかく眺むる方も霧こむる深山の里に心澄むらむ

ふもとにはまた時雨とや思ふらむ深山の里はあられふるなり

奥山の岩根の苔ぞあはれなるつひには人の衣と思へば

夢とのみ過ぎにし方は思ほえて覚めてもさめぬここちこそすれ

普通? ましかし、レベルが一様に高い。

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