CGや特撮がしょぼいのはシャレもあるだろうから、そこは批判しないようにしようと思ってたが、だいたいは良かった。それなりにきちんとしている。この映画のCGをハリウッド映画なんかと比較して叩くとかむなしいだろ。
ただ、いろんな路線の電車に爆弾積んでゴジラにぶつけるCGはダサかった。いろんな電車がプラレールかなんかみたいにとびちっててなんであんなことするのかと思った。あれは何か、鉄オタへのサービスのつもりなのだろうか。電車ぶつけても先頭車両の爆薬くらいしか効かないだろう。
で、呑川をさかのぼってくるサンショウウオだかなんかみたいな形態のゴジラは面白かった。ああこれがネタバレかと思った。
自衛隊とゴジラの戦闘シーンはよかった。たぶんこの映画の一番良いところはここだ。多摩川を挟んで自衛隊とゴジラが対決してゴジラが勝っちゃう。米軍との戦闘もまあまあだった。しかしゴジラの背中からビームが何本も出るのは「イデオンかよ」と思って引いた。ゴジラの口から出すビームが「なんだ巨神兵かよ」と思った。
でまあ電車をぶつけるのはどっちらけだった。ビルに仕掛けた爆弾でゴジラが下敷きになるのもどうかと思った。それで口から凝固剤を流し込むのだが、血管注射するならともかく口から入れても入るかしれないし、入っても胃があるなら胃酸で変質してしまうだろうし、注入している間ゴジラがおとなしく気絶しているのがもう全然間抜けで、自衛隊や米軍に対してあんなに強かったゴジラがなんでこんななのかと思う。でそのタンクローリーみたいなのが瓦礫の山の中をどうやってゴジラまで近づくんだよ、近付けたのは奇跡に近いんじゃないかと思う。ともかくこのヤシオリ作戦というのがとてつもなくひどい、と私には思えた。北の丸の屋外に指令本部みたいなのを設置して、なんか迷彩の網みたいなのをかぶして、放射能防護服着てるのだが、なんでそんなことする必要があるのかと思った。別に指令本部は立川にあっても良いんじゃないかと思った。立川じゃなくても良いから北の丸よりもずっと離れた地中とかにあっても良かったはずだ。そういうご都合主義が多すぎた。
首相官邸のすったもんだとかは別にどうでもよかった。石原さとみも言われているほど大根役者ではなかった。ノリとしては政治ドラマというより警察ドラマに近い。政治臭もあるのだが、そんなに良い出来とは思えなかった。例えば「ブラックホークダウン」みたいな、胃に穴が開きそうな緊迫感は無い。あれも結局はアメリカマンセー臭さがあるんだけど、ああいうふうに、実際に戦争してる国が作る映画とはまるで違う物だ。アメリカの属国とかいう言葉も、言いたかったんだろうが、軽い感じがした。
あと、主人公が最初から事故原因を巨大不明生物だと見抜いていたのが不自然過ぎる。
東映のデビルマンを1デビルマンとすれば、シン・ゴジラは1000デビルマンくらいはある。でもいろいろ不満な点はあるので、10000デビルマンではない。
深読みすると、シン・ゴジラは冒頭で行方不明になる牧悟郎なる科学者が生み出したものであり、その「倒し方」も牧悟郎が残した「暗号化資料」にすべて明記されていて、すべては牧による自作自演であり、シン・ゴジラは牧が作った「使徒」なのであるから、これに忠実に沿って実行されたがゆえにヤシオリ作戦は成功したのだ、と解釈できなくもない。「私は好きにした、君らも好きにしろ」という牧の置き手紙もそういう意味。だとしてもやはりあの「倒し方」は納得いかない。