実朝が歌を詠み始めたのは14才のとき、新古今集が成立した時期に相当するという。
実朝は新古今が大好きで
> 水鳥の鴨のうきねのうきながら玉藻の床に幾夜へぬらむ (金塊集)
> 水鳥の鴨のうきねのうきながら浪の枕に幾夜へぬらむ (新古今集)
だから本歌取りどころかまるでそのままの歌もあるのだな。
いやはや。
だがまあ、金塊集の中でも上のような初期の単なる習作と後期の独自の歌とは見分けがつくものだ。
死ぬ間際ということは習作の段階をとっくに過ぎているわけで、
いくら即興だからといってまずい模倣作など詠むまいと思うが。
定家から「[近代秀歌](http://www.asahi-net.or.jp/~SG2H-ymst/yamatouta/kagaku/kindai.html)」という本をもらったそうだ。
斎藤茂吉によれば後鳥羽上皇の歌の影響があるそうだ。
そういわれればそんな気もする。
小島氏による日本文学大系金塊集の解説によれば、
実朝は万葉集から直接影響を受けたというよりは、
奥義抄もしくはそれに類する歌学書から影響を受けていた可能性の方が高いと言う。
また新古今集にも万葉集の影響があるが、実朝は新古今集からではなく、
独自の影響を受けていると言う。
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