AIにもヘビーユーザーとライトユーザーがあって、私のようにときたま英文の手直しを頼んだり、今時のAIはどのくらいまで賢くなったかなと冷やかし半分にAIに質問したりするのはライトユーザーであって、課金するところまでは至らない。
しかし会社でプレゼンする資料を作成したり、そのためにグラフを作ったりイラストを挿入したりといった仕事を、しかも細部まで指定して頼んだり、或いは動画作成なんかしてもらったりすると、途端に処理に時間がかかるようになってここから先はお金払ってね、ということになる。課金して初めてAIの会社は投資した資金が回収できるわけだから、そういうヘビーユーザーをどれだけ囲い込むかということが経営的には重要なわけだ。
私も英文修正を手伝ってもらうのは非常に重宝していて、しかしこの程度のことであれば、AI開発は非常に競争が激しいから、今後もそう簡単に課金されることもあるまい。それに英語と日本語の翻訳などという学習は、いくらでもただでスクレイピングできるから、これからもどんどん学習してどんどん賢くなって自然に近くなっていくに違いない。だが私はプレゼン資料に凝るタイプの人間ではないので、ただ単に文字をベタ打ちしたものを自分で勝手に作って使っている。これに凝る人は多少課金させてもかまわないからどんどん細かな指示を出して自分好みの資料を作る。そうするとAI会社は儲かる。となればそういう顧客向けに特化してクオリティを上げていったほうが、きまぐれなライトユーザーがいつの日か課金してくれるのを待っているよりずっと早く資金を回収できて株主にも高く評価されるということになる。これが加速していけば、結局課金しやすいところだけAIはどんどん機能を特化していき、それ以外のところはほったらかされていつまでも馬鹿でまぬけなAIのままになっていくのだろう。
今も実写をジブリ風にするとか、背景から要らないものを消すとか、プロンプトに従ってアニメを作るとか、そしてきれいなプレゼン資料を作るとか。そういうものばかりが流行って、半年くらいのサイクルで新しいサービスが出ては消えていく。ホリエモンがAIを使いこなさないと社会の進歩において行かれると煽り、ひろゆきがAI開発を今すぐ中止しろと吠えるようになったのは、そろそろAIも終わりに近づいたのかなと思わざるを得ない。一時期のあの食パン小売店の流行りはなんだったのかということにならんか。
AIがどんなふうに終わるかというと、AI開発が激化していき、しかしいつまでも収益が得られないので、赤字部門は閉鎖し、資金を黒字部門にだけ集中し、AIを収益化できるビジネスモデルというものがだいたいできあがってしまって、1年も満たない短いサイクルで新しいサービスが出ては消えるということが繰り返されて、つまり投資に対していくら儲かるかということが見えてくるとそこで頭打ちということになるか。
AIもつまり今のソシャゲみたいに基本無料で使えて課金したい人だけがして、課金しやすいところにサービスも狭く特化していく、そういうビジネスモデルにならざるをえんだろ?
思うに、AIを町の占い師かなにかみたいに使う人は一定数いるだろう。今日は何を食べたらいいかとかそういうことをいちいちAIに聞いて判断する。実際何を食べようと食べまいと世の中大きな違いはないわけだから、それで気が済む人はそうすりゃいい。人間に聞くよりAIに聞くほうが気が楽だろうし。だがそういう人には課金できまい。ビジネスモデルとしては完全に失敗している。たまになんかの広告を踏んでくれるくらいではなかろうか。android にデジタルアシスタントで gemini が載るようになったが私は無効にしている。スマホにあれこれアドバイスされてもうっとうしいだけだ。スマホをAIで便利にすればスマホがもっと売れるようになって利益はあるんだろうが、それが当たり前になって、需要が横ばいになったとき、世の中はどうなるか。