もののふの

頼朝

> もののふの八十宇治川をゆく水の流れてはやき年の暮れかな

柿本人麻呂

> もののふの八十宇治川の網代木にいさよふ波のゆくへ知らずも

元明天皇

> ますらをの鞆(とも)の音すなりもののふの大臣(おほまへつきみ)楯立つらしも

笠金村歌集

> もののふの臣(おみ)のをとこは大君の任(まけ)のまにまに聞くと言ふものぞ

刀理宣令

> もののふの石瀬(いはせ)のもりのほととぎすいまもなかぬか山の常影(とかげ)に

読人知らず

> もののふの八十宇治川の速き瀬に立ち得ぬ恋ひも吾れはするかも

大伴家持

> もののふの八十をとめらが組みまがふ寺井のうへの堅かごの花

> 秋の庭今こそゆかめもののふのをとこをみなの花にほひ見に

岩波古語辞典によれば、「もののふの」は「矢」「射」にかかる枕詞で、
「矢」から「八十」、
「射」から「岩瀬」、
また(武臣だけでなく文臣も含めて、臣下の)人数が多いときにも使うとある。

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