黄砂襲来

> もろこしの砂も降り来る春の日の夜半は嵐を聞きつつぞ寝る

> 雨風はきのふの夜こそはげしけれけふはしづけく春ぞ更けゆく

> をちこちの花咲く野辺にうたげせむ日どりばかりぞまづ決まりゆく

> 惜しまずやあたら月日を春さればつとめもしげくなりゆくものを

> いにしへの大宮人よわれもまたいとましあらばうたげせましを

> わが宿ののきばに出でて草まくら旅寝ごこちの春を楽しむ

> ぼんやりとけふも暮らしつかかる日のあはれこのまま続かましかば

> なりはひのわざにつとめばなかなかにいとまなくとも歌は詠ままし

> うららかに晴れたる春を惜しむべしけふぞ過ぎなばいとまなからむ

> つのぐみて咲かむとみゆるこずゑかなをみなをのこら日を数へてぞ待つ

> ことしげき日々ぞ待ちぬる春過ぎてあはれ浮き世の夢も醒めなば

> おもひやれ四十ぢのをのこいかばかり国に貢ぎて世を支へてむ

> あしびきのやまどりのをのしだりをのしだれ桜をけふこそは見め

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