松本清張「昭和史発掘」など読む。
面白いがねちっこい。
さすがに元朝日の記者…。
本田勝一よりはましだが。
昔の日本は農村だったわけですよね。
株式会社とか大企業というものはない。
ほとんど自営農家。
もしくは小作。
もしくは個人商店。
田舎で一番大きな会社というのは役場か学校か郵便局。
戦後なら農協や漁協。
地方自治体くらいしかまともな雇用環境を提供できなかった。
民間企業の力が今ほど強くないから、
田舎の人間はみんな地域ごとにコミュニティを作って生きていくしかなかった。
今は違う。
民間の大企業がどんどんでかい店舗や工場を建てていく。
そういうところのサラリーマンになればとりあえず安泰。
車社会になったから4車線以上のでかい道路沿いが栄え、
或いは特急や急行が止まる駅の周辺の住宅地に人が住み着く。
人間関係も町の構造もどんどん変わっていく。
個人商店は赤字でも黒字でもないから法人税は払わない。
土地ももってりゃ家賃も払わない。
冒険もしないから急に倒産もしない。
年金もそれなりにもらえる。
となればこれは民間企業の形はしているが公務員と大した違いはない。
いや本質的にはニートと変わりない。
淘汰圧にさらされることなく滅びることもないが発展もない。
特に悪いことをしているわけではないが社会に貢献しているわけでないのは確か。
そういう個人経営の商店や農家が日本中の田舎にものすごくたくさんある。
ほんとはそれがすごい問題なんじゃないかという気がする。
1929年世界恐慌の頃農村の収入の4割は絹だったそうだ。
今じゃ考えられないな。
絹のような輸出用の高級消費財が一番打撃を受けたわけだ。
たしかに田中義一から226事件までの話は面白いな。
浜口雄幸についてはほとんど書いてない。
城山一郎は「男子の本懐」で浜口雄幸についてかなりポジティブに書いているが、
松本清張は農村を困窮させクーデターを招いたダメな宰相という書き方しかしてない。
まー結果的にはそうだな。
しかし田中義一はひどい。
こんだけ失政に汚職だらけじゃ国会が荒れ右翼が暴れ、
首相がばたばた暗殺されるわけだよなあ戦前の日本って。