「シュピリ」だが、アマゾンではまったく動きがないのに、図書館ではまだ徐々に所蔵が増えている。
東京都だと杉並区が4館で他よりも少し多く、ほほうなるほど、杉並はやっぱりアニメ好きですか、って感じがする。
埼玉はなぜか所蔵館が多く、なかでも川越が若干多い。
これまた宮崎駿の影響を感じさせなくもない。
思うに、アマゾンで中身を見ずにいきなりこの本を買う人はそんなにはいないだろう。
いるとしたら研究者かなにかだろう。
とりあえず読んで見るには立ち読みか、図書館で買ってもらうか。
反応はほとんど無いに等しいが、何となく今回は多くの人に読んでもらえてる気がする。
サイレントマジョリティの存在を感じる。
宮崎駿は確実に歴史に名を残す人で、彼を理解しようと思えば、
「アルプスの少女ハイジ」までさかのぼってみないわけにはいかない。
原著と比較したときにその多くの違いに人は気付くだろう。
そこからさらにヨハンナ・シュピリという作家について疑問がわいてくるに違いない。
私はますますシュピリという人は童話やメルヒェンを書きたくて書いたわけではなく、
編集者にそそのかされて書いたんじゃないかという気がしている。
シュピリのおもしろさは、メルヒェンから逸脱した、彼女の「地」の部分にあると思う。
その不純物を漉し取ってしまうと、まったく味けのない作品になってしまうのだ。
シュピリはほんとはもっとシリアスな話を書きたかったのだが、
そんな売れない本はとか出版社に言われて仕方なく童話を量産したのではなかったか。
シュピリが自伝を残さなかったのも、そういう、人には言えない事情がたくさんあったせいではないか。
私の直感では明らかにそうなのだが、
その証拠固めをするのは骨が折れる仕事だ。
今より100倍くらいドイツ語を読んで、ドイツ語と格闘しなきゃいけない。
今更ドイツ語にそこまでのめり込んでどうするという気がする。
ていうか本場のドイツ人が研究しろよと思う。
ともかく、
無名の新人(筆名では。まあ、実名でも全然名は知られてないが)が多くの人に読んでもらうには今回の狙いは割とあたったように思う。
私だって宮崎駿以外が「ハイジ」を作っていたらまったく興味を持たなかっただろうし、
宮崎駿学の文献の一つを提供したのだと思っている。