湯原王贈娘子歌二首 志貴皇子之子也
04-0631
宇波弊無 物可聞人者 然許 遠家路乎 令還念者
うはへなき ものかもひとは かくばかり とほきいへぢを かへさくもへば
あるいは、
うはべ無き ものかも妹は かくばかり 遠き家路を 還さく思へば
あいそのない人だな、君は。私にこんなに遠い家路を帰らせようと思うなんて。
04-0632
目二破見而 手二破不所取 月内之 楓如 妹乎奈何責
めにはみて てにはとらえぬ つきのうちの かつらのごとき いもをいかにせむ
伊勢物語73
昔、そこにはありと聞けど消息をだにいふべくもあらぬ女にあたりを思ひける、
目には見て 手にはとられぬ 月のうちの 桂のごとき 君にぞありける
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