水島直文・橋本政宣編注「橘曙覧全歌集」を読む。
わりとおもしろい。
冒頭に載っている歌:
> あるじはと人もし問はば軒の松あらしといひて吹きかへしてよ
「嵐」と「あらじ」をかけている。愉快な歌。
朝ぎよめのついでに
> かきよせて拾ふもうれし世の中の塵はまじらぬ庭の松の葉
道元の[山居](/?p=1511)の影響を感じるよね。
同じ福井の山の中だし。
閑居雪
> なかなかにふり捨てられてうれしきは柴の網戸をあけがたの雪
これも、「戸を開け」ると「明け方」をかけている。おもしろいなあ。
> あばらなるやどはやどにてすみわたる月は我にもさもにたるかな
「あばら」というのは歌にはあまり使われない言葉なのではないか。
全体にくだけた口語調に見える。
述懐
> なかなかに思へばやすき身なりけり世に拾はれぬみねの落ち栗
いいなあ。この屈折した感じが。
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