改めて、俺はまだ本気出してないだけを3巻一気読みしてみた。電車の中ヒマだったので何度も何度も読み返した。そしてやっぱしゃれにならんマンガだなとは思いつつ、青野春秋という作家についていろんな疑問がわいてきた。マンガ自体は非常に良く出来ているので、われわれはついこれは作者の自伝的なマンガなんじゃないかと錯覚してしまうが、それは巧妙なるやらせのたぐいであって、作者は40のおっさんではなくて20代の女性かもしれない、とさえ思える。イキマンという作家発掘養成のための新人賞、いや、イッキという雑誌そのものをもり立てるための壮大なやらせなのかもしれない、ヘタウマ風の画風さえやらせであり、新人賞当時の画力を編集者らに無理矢理保持させられているだけなんじゃないかとさえ思える。いや、それならそれでもかまわんのだが、だまされたとわかったときのショックをできるだけ和らげたいと思うのだった。
ははあ。なるほど。ネットに散らばっている情報を集めるとおぼろげに見えてくる。イキマン「走馬灯」受賞時2005年11月に青野27才。素直に逆算して1978年生まれ、現在30才くらい。性別不明。2001年ヤングマガジンにて「スラップ スティック」が第45回ちばてつや賞優秀新人賞受賞、とあるがこのとき推定23才。10代から漫画家のアシスタントやってると。まあ、作者はごく普通の漫画家だわな。で、女性であればおそらく作者は鈴子に近い立場。もしくは読み切り「生きる」に出てくる女性。男性ならマクドナルドのバイトの田中とかか。
「走馬灯」掲載が06年2月。「いきる」掲載が07年1月。読み切り「俺はまだ本気出してないだけ」掲載が07年3月。連載開始が07年5月。
第3巻の発行が三ヶ月ほど遅れたのは作者の体調不良によるらしい。
同じイキマン出身の福満しげゆきは作家本人がそうとう露出しているのにくらべて青野はやはり謎に包まれている。