朱塗り

投稿者: | 2010年7月16日

私は九州で生まれ育ったのだが、
九州には養蚕があまり発達しなかったせいか、
お稲荷さんの祠があまり無い。
従ってあのような赤い鳥居というものを見たことがなかった(祐徳稲荷に幼い頃行ったはずなのだが、鮮明に覚えてない。とにかくひたすら長い階段の回廊を登ったことだけ覚えている)。

また、九州はあまり地震がないわりに台風が良く来るからだと思うが、
鳥居は石作りのものが多い。
博多あたりだと朱塗りの鳥居や社殿も多いようだが、
たとえば長崎の諏訪神社などは朱はまったく使われていない。
石か黒々とした木肌か。

まあだから私が田舎を出て京都に住んだときに一番驚いたのは神社建築のけばけばしさだった。
特に上賀茂神社には驚いた。
上賀茂神社というのは、平安京が出来るよりも、渡来人の秦氏が入植するよりもずっとまえの山城の国に土着の豪族のなごりだろう。
それがあのように、白い砂、緑の芝生、朱塗りの鳥居のように、
なんといえば良いのか、派手な色彩でいろどられているのにびっくりしたわけだ。
上賀茂の近くに久我神社という小さな町中の神社があるがここも赤くて白くて実に清らかな神社だ。

その後、日光東照宮も見てみたが、いろいろ噂に聞いたよりは派手さも感じなかったしけばけばしいとも思わなかった。
むしろ、落語に聞いていた左甚五郎の眠り猫の彫刻があまりにちっぽけなのに落胆したくらいだ。

ブルーノ・タウト以来、桂離宮を褒めて東照宮をけなすのがはやりなようだが、
桂離宮は見たことないのだが、
どちらが駄目でどちらが良いという気にはならん。
もしケバくてデコラティブなのが駄目だというのなら伏見稲荷の鳥居の参道などどうなのだろうか。
廃仏毀釈以前の鶴岡八幡宮などはもっとデコラティブでまがまがしいところだったに違いない。

仏像も寺院も元の朱塗りや青塗りや金箔を残さないのがわびさびであって、それが室町時代に完成して、
日本ではそれ以来朱塗りはしなくなったのに東照宮はひどい、というのは明らかにおかしい。
朱塗りの事例はいくらでもあるからだ。
東照宮がいかんというのならお祭りの御輿や祇園祭の山鉾などはどうなのか。
仏壇の装飾はどうなのか。
同じようにけなさなくちゃなるまい。

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