亦不知其所終 田中久三 aka 田中紀峰のサイト。

09.17.1989 · Posted in 詠歌

勉強の苦し紛れにしるしなき歌の一つも詠みてみむかな
これといふしるしもなしに遅くまで起きて思ふはほかのことかな
このごろは部屋の窓にもカーテンをひきこもりてぞ暮らしつるかな
やとはれのおきなをうなら熊手もて落ち葉あつむるしはすなりけり

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07.20.1987 · Posted in 詠歌

寝るのにも起きてレポート書くのにもどうしようもなく蒸し暑い夜
対数が逆さまだった最初から書き直しだよ頭に来るな
ひさしぶりにこたつを出してあたりつつ松本伊代の歌など聴けり
金のない学生なればやきそばの三食分を晩飯にすれ
ここちよきものにこそあれひろびろとひとりこたつにうたたねするは
ここちよききはみにぞある血を吐きて床に伏したる祖父を思はで
電話引き初めて受けし連絡は故郷の祖父の血を吐きぬとぞ
わが家はいかにあるらむことしげきをりは人手も足らざるらむを
朝の日に窓は白みてあまだれの音にまじりて鳥のねもする
ひねもすに雪のふりても冬のごといとど寒くはあらぬよはかな
春来むとけはひはすれどたれこめてけふまたのべに雪ぞふりつむ
雪降れば壁にむかひて日のささぬ窓もひときは白き朝かな
大君のあとをしたひてつとめてに代々木の杜にまゐる人々
つとめての雪白きのべにつどひきてひごとにすらしラジオ体操
さくらばな咲きそむらむと岡の上にひごと登れど今日もふふめり
寝てもよし日に当たりてもよしスロープの芝生の若芽おひいでにけり
大根をまるごともとからしっぽまでおでんの素で煮てくひにけり
大根を輪に切るひまの広ければなかなか芯まで煮えきらざるなり
安ければ一度におほく買ひけるが鰯ばかりをただ食はなくに
春休みまだあけざれば図書館にふみよむ人も少なかりけり
安しとは書かれたれども我が目にはいとど安くは見えぬ品かな
春休みバイトなき日はつれづれに長きいとまをもてあましけり
春されどいまだこたつをしまはねば夜の寝床はこたつなりけり
あれこれと買はまほしきはありけれど先立つものは今あらなくに
ラジオにて冨田靖子が物語りするコーナーはおはりけるにや
朝イチにあきつるコマも三年の講義をとりて埋めてしまはむ
いとまなく散る花みればことのはのしげき夏こそやすらはれけれ
藤棚も銀杏並木ももとろもに緑いだしてながめ変へけり
あしびきの山手線にひさしくも乗らずすごせり引っ越しければ
奥山に踏み入りしかばいとまなきこととはなれりちぢにまよひて
新しき品々買ひて部屋の中にいかに置かむと思ふころかな

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03.10.1987 · Posted in 詠歌

それとなきひと日なりともかへりみてふみに残してためしとはせむ
引っ越しのをりにいでたるふるきふみをしまふついでによみかへすかな
引っ越してふつかみかへてけふもまたもののならびをすゑかへにけり
梅咲きて桜はいまだ咲かぬまにグリーンピースとめばる食ひけり
引っ越してうれしきことは朝の日の明るきこととシャワーなりけり
新聞の勧誘の来て三枚のタヲルもらひて六ヶ月なり
いとしもは悪くはあらぬ新聞と思へばをれてまたも取るなり
あたらしきことと思ひてすることはおのれに先に飽きの来るなり
窓の上にうつる光はガレージにはいる車の照らすなりけり
ときをりに思ふごとくに冷蔵庫のしづけき夜に音うなるなり
暖かき春の朝なりストーブやこたつつけでもいと寒からず

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04.17.1986 · Posted in 詠歌

道の上車の上とわかたずにふりしく花にみなおほはれつ
花にのみ馴れにし目にはもろもろの木々の若芽もうれしかりけり

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04.05.1986 · Posted in 詠歌

なつかしきかほもみまほし過ぎし日に見てしおもかげおぼろなるゆゑ
野のつたの軒の網戸に伸びたるが窓を開くればほとけ落ちたり
夏の間にかび覆ひたる皮バンド針のめぐりは狂はざれども
くちぶえのうそぶかれけりほほづゑをつきてつくゑにむかひゐたれば
ひとのめにいかにうつりてあるわれぞわれひとりのみあらじとおもふに

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