米の値段

米の値段が下がらないのは、生産者、米農家や農協、農林水産省のせいばかりではないと思える。消費者が日本の米を食うことにこだわり続ける限り、行政も変わらないし、農家だって高く売れるほうが良いに決まっているんだから、米の値段は下がりようがない。

日本産の米にこだわる必然性はほとんどない。日本人の多くはしかし米は日本産に限ると思い込んでいる。または思い込まされている。非常に保守的だ。保守というがたまたま戦後はそうだったというだけで、江戸時代じゃあるまいし、米がまったく輸入されてこなかったわけではなく、国産米にこだわってきたわけじゃあるまい。そもそも日本人も今や米ばかり食っているわけではない。米よりも小麦が食えなくなるほうがずっと大きな打撃だろう。小麦はほとんど輸入に頼っているにもかかわらず。米が国産かどうかなどということは全体から見ると些細な、プライオリティの低い問題に過ぎない。そもそも石油が輸入できなくなった時点ですべてが終わる。米が輸入できるかどうかなんて言っている場合じゃない。

たいていの人は米というと頭に血が上って冷静な思考ができなくなる。玉子や生乳のように日持ちしないものは国産に頼るのが合理的だが、米などは世界中で栽培して世界中から輸入するのが良いに決まっている。中国インド、東南アジアなど稲作地帯は人口の稠密地帯であるが、北アメリカでもオーストラリアでも栽培できるんだから世界中どこでも育つに違いない。南米でもアフリカでもどこでもジャポニカ米を栽培すりゃいいだけのことだ。なぜそういうところに日本の外交努力を注ぎ込まないのか。農協や米農家の陰謀ではあるまい。消費者が馬鹿なのだ。消費者はいつも他人を攻撃し不満を言うだけで何も考えようとしない。大衆が馬鹿だから大衆を煽るしか能の無い馬鹿メディアがはびこるのだ(大衆が先かメディアが先か問題)。

私はあの和牛の霜降り肉が、やたら高くて脂がべちゃべちゃしてぶよぶよしてて大嫌いで、あんな病的で気色の悪いゲテモノがちゃんとした肉食文化のある国で受け入れられるわけないと思っていたが、今では世界中で一定の需要があるらしい(ちゃんとした海賊文化があるイギリスやスペインでもワンピースが流行るようなものなのだろう)。つまり国産の、比較的高価な牛肉が国際市場で通用しているということだ。日本酒にしても日本の米にしても、高級路線に特化して海外で売りまくれば良い。その代わり安くて普通の米は海外から買えばよい。米が不足しているのになぜ米を輸出しているのかなどと言ってる連中は経済がそもそもわかってないのだろうか。煽りたいだけなのだろうか。政府を攻撃したいのだろうか。

脂身と赤身が分離した固くて歯ごたえがある肉はアンガスとかオーストラリア産を輸入すりゃいい。だれでも格安で海外旅行できて、アフリカの海で採れたタコを輸入するような、極限まで流通が発達した現代で、国産だけでどうにかしようという理由がない。なぜそういう風潮にならないのか不思議でならん(天照大神の呪縛だろうか。ならば神道ごと稲作栽培を世界に普及させれば良い)。

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