近世和歌撰集集成

投稿者: | 2010年4月6日

上野洋三編「近世和歌撰集集成」明治書院全三巻。
新明題集、新後明題集、新題林集、部類現葉集などの堂上の類題集など。
他には若むらさき、鳥の跡、麓のちりなどの撰集。これらは地下の巻に入っているのだが、
通常は、堂上に分類されないだろうか。
私家集はない。
国歌大観にもれた珍しい近世の撰集というだけあって、かなりマイナー感がある。
しかもこれまた電話帳。なぜか貸し出し扱いになっていたが、
家に持ち帰ってももてあますだけなので、とりあえずそのまま借りずに返却した。
借りたくなったらまた行けば良い。
「近世和歌研究」加藤中道館。論文集みたいなもの。それなりに面白い。

霊元天皇

> 車をも止めて見るべくかげしげる楓の林いろぞ涼しき

契沖

> 我こそは花にも実にも名をなさでたてる深山木朽ちぬともよし

> 数ならぬ身に生まれても思ふことなど人なみにある世なるらむ

高畠式部。
江戸後期の人だが、90才以上生きて明治14年に死んでいる。
景樹に学ぶ。少し面白い。

> 春雨に濡るるもよしや吉野山花のしづくのかかる下道

> さよる夜の嵐のすゑにきこゆなり深山にさけぶむささびの声

> なかなかに人とあらずは荒熊の手中をなめて冬ごもりせむ

最後のはやや面白いが、

> なかなかに人とあらずは桑子にもならましものを玉の緒ばかり

> なかなかに人とあらずは酒壷になりにてしかも酒に染みなむ

などの本歌がある。「桑子(くはこ)」とは蚕のこと。
「なかなかに人とあらずは」は「なまじ人間であるよりは」の意味であるから、
「なまじ人間であるよりは荒熊になって、てのひらでもなめて冬ごもりしようか」の意味か。

> なかなかに人とあらずはこころなき馬か鹿にもならましものを

これは狂歌(笑)。

> なかなかに人とあらずは花の咲く里にのみ住む鳥にならまし

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