温泉の歌

万葉集に出てくる唯一の温泉の歌として、湯河原温泉を歌ったという和歌があるのだが、

> 足柄の土肥の河内に出づる湯の世にもたよらに子らが言はなくに (よみ人しらず)

> 阿之我利能 刀比能可布知尓 伊豆流湯能 余尓母多欲良尓 故呂河伊波奈久尓

ほかにも山部赤人が伊予の温泉(道後温泉)を歌った長歌がある。

> 山部宿禰赤人、伊予温泉(いよのゆ)に至りて作る歌一首 并せて短歌

> 皇神祖(すめろき)の 神の命(みこと)の 敷きいます 国のことごと 湯はしも 多(さは)にあれども 島山の 宣(よろ)しき国と 凝々(こご)しかも 伊予の高嶺の 射狭庭(いざには)の 岡に立たして 歌思ひ 辞(こと)思ほしし み湯の上(うへ)の 木群(こむら)を見れば 臣(おみ)の木も 生(お)ひ継ぎにけり 鳴く鳥の 声も変らず 遠き代に 神さびゆかむ 行幸処(いでましところ)

> 反歌 ももしきの大宮人の熟田津(にぎたつ)に船(ふな)乗りしけむ年の知らなく

だから、温泉の歌は万葉集に、唯一ではない。

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