中台危機ダイジェスト

新聞が溜ってきたので,捨てる前に「中台危機ダイジェスト」でも書いておこうと思っていろいろ読んで見たら,ものすごい量なので,ちょっといやんになってきた.でも時間あるだし.やってみるか.

※追記: 1996年に起きた第三次台湾海峡危機のこと。

華声和語ものぞいて見たが,あんだけ大騒ぎになったわりにはあまり記事がない.かなり遠慮していると見た.

2月1日 台湾株価急落

国民党系企業,中央銀行の連日の介入.今から思えばこの時期の株は「買い」だったよな.

2月2日 米の不確実性有益

ナイ前米国防次官補に聞く.

--中台間で衝突が起きたらどうするのか.

米国政府はそうした質問には答えないことにしている.台湾を守ると言えば,台湾は冒険をしようとするかもしれないし,逆ならば,今度は中国がより攻撃的な姿勢をとるかもしれないからだ.

この問題では(米国がどう出るか分からないという)不確実性こそが戦略的に有益な役割を果たす.朝鮮戦争の際に何が起きたかを思い起こすべきだ.当時,米国はいったん韓国を防衛しないと表明,その後,朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が韓国を攻撃し,結局,米国が韓国防衛に乗り出した.

この記事については既に3月8日にも言及している.さて,上の朝鮮戦争のときと全く同じことが南沙諸島問題についても言えるだろう.フィリピンから米軍基地が撤退したことが,現在の南沙諸島問題の遠因になっている.結局フィリピンは中国に対抗するために米軍の軍事力が必要なのであり,フィリピンはまっさきに,日米安保見直しに賛成した(日経 4/18.ラモス大統領「米国がアジア太平洋地域と軍事的関わりを持ち続けることがはっきりした.宣言を歓迎する.」).

2月8日 福建省で軍事演習

人民解放軍が 2/10 未明から福建省沿岸で陸海空軍の合同演習.旧正月(19日)前に終了.

2月10日 中台軍事力比較

米国介入なしでも台湾は自力防衛できる,との楽観的な見方も.ただしミサイル攻撃にはほとんど無防備.

ついでに台湾に旅行したとき見聞したことを書く.台湾では social service や military service がある.いわゆる徴兵・兵役である.蒋介石を祭った中正紀念堂というのがあって,ここで女子高生らしき連中が日曜の午後にブラスバンドとかバトントワラーとかやっている.一見なごやかな光景である.しかし,よくよく見るとバトンと思っていたものが銃剣なのである.つまりこれも軍事演習の一部と見てよい.日本では,普通の女子高生が武器の取扱いの稽古をしたりすることは,ない.つくづく日本は平和である.と思った.

2月13, 14日 中国の集結部隊「大規模ではない」

40 万人という数は,台湾の経済に影響を与えるために流された可能性がある.とのこと.
実際は 15 万人以下(台湾国防省発表).また,李登輝総統の得票率を下げるため,とも.

2月14日 米政府高官相次ぎ中国牽制

ペリー国防長官.

中国は今こそ正しいメッセージを米国に送るべきだ,

この段階では言葉による牽制.

2月23日 台湾の歴史

台湾には外省人(共産党政権誕生後,中国本土から移り住んだ人)と、本省人(それ以前から台湾に住んでいた人)がいる.

1947年,台湾住民は初め中国復帰を喜んだが,国民党の強権と腐敗に失望.本省人の騒乱を武力鎮圧.

1949年,国民党は共産党との内戦に敗れ,台湾に移動.少数派の外省人が権力の一切を握る.本省人の亡命者国外活動.

1988年,本省人の李登輝総統登場.独立運動も合法化.ちなみに李総統は本省人.京大 OB だそうだ.

2月29日 米国対中赤字急増

米国の対日赤字が減少する半面,対中赤字が急増し,対日赤字に迫る勢い.

そうか~.中国ってけっこう儲けてるんだな.それで米国は対中制裁とかって言ってるんだな.

3月4日 二・二八事件

1947.2.27 国民党政府の警官がヤミタバコ売りの中年婦人を殴打.翌日には台湾全体の騒動に.蜂起した人々が親日的であったことが災いし,国民党関係者との凄惨なリンチ合戦に.南京中央政府は精鋭部隊を派遣して暴動を鎮圧.二万人以上の台湾人が殺された.台湾人は国民党に失望.

3月5日 ミサイル演習発表

人民解放軍は 3/5 から 3/15 まで,台湾に近い東シナ海と南シナ海でミサイル発射訓練をすると発表.

3月6日 即時反撃

台湾国防部長.

中国軍の発射したミサイルが一発でも台湾の領海 12 カイリに着弾した場合,台湾は直ちに反撃する.

3月8日 ミサイル演習強行

発射されたのは地対地中距離ミサイル M9.台湾を緩やかな経済封鎖に置く形.

橋本首相

公海上では法的に問題ないのかもしれないが,不幸な方向にあると思う.

3月11日 空軍機避難打診

台湾が,フィリピン,シンガポール,インドネシアなどに,中国との軍事衝突になった場合に空軍機を避難させられるかどうか,非公式に打診した.中国は,空軍設備をミサイル攻撃して制海・制空権を握ったのちに,台湾に上陸してくると考えられるため.

3月12日 中国実弾演習

広東省沖海空軍実弾演習.

横須賀を母港とする米第七艦隊空母インディペンデンスを台湾沖に派遣.原子力空母ミニッツ,ペルシャ湾から急行.ミニッツは通常パキスタン・インド間の紛争に備えてインド洋辺りにいる.

クリストファー国務長官

中国の演習は無謀な威嚇であり危険な威圧だ.米国は必要な場合に助けになるため台湾に近付く。

橋本首相

公海上で動いているわけだから,第三国がとやかく言うことはできない.

確かに.しかし限りなく当事者に近い第三国である.

外務省

西側諸国がさまざまな行動を起こしているにも関わらず,中国側は必ずしも期待したような自重と自制の方向にない。

わが国が自制を求めたにも関わらず,新たに実弾射撃訓練まで公告したのは,台湾周辺での軍事訓練を本格化させるもので,アジア全体の安定にとって好ましくない。

この日の産経新聞第三面「怪刀乱麻・江沢民さんの記念碑を」は,いかにも産経らしい論説.

  1. 中国がおっかない国であることを自分からみせつけた.
  2. 中国は安心できないと周辺諸国がつくづく思い知らされた.
  3. 日米双方で安保の重要性が増してくる

ことから,江沢民の記念碑を浦賀に建てよう,という話.

3月13日 米議会に「親台」広がる

イギリス,強い批判.ロシア,自制要望.中国,米艦隊派遣批判.

3月14日 防衛庁分析

3月15日 日経朝刊第一面左下

12~13日,米軍と自衛隊が,「演習を装って集結した中国軍部隊が台湾海峡にある金門,馬祖両島やそれ以外の台湾の島に対して限定的奇襲攻撃をかける恐れがある」と判断,極めて高度の厳戒体制に入っていたことが14日防衛庁筋が明らかに.

「防衛庁筋」とは?

この件については3月10日にも触れた.

金門島というのは,マカオのすぐ近くにある島で,福建省から数キロしか離れてない.台湾領土ではあるが台湾本島よりも中国本土に近い.

3月18日 福建省沖陸海空軍合同演習

3月19日 米下院台湾防衛決議可決

米下院.中国が台湾を攻撃した際に軍事介入を米政府に求める決議を可決.

アメリカは中国による侵略,ミサイル攻撃,海上封鎖から台湾を守らなければならない.

艦艇,航空機,対空防衛システム供与を政府に求める.

総統選候補者

李 登輝
与党 国民党
優先課題は中台敵対状態の集結
長期的には中台統一.
彭 明敏
野党 民進党,元台湾大学教授,政治学部長
台湾独立.日米による牽制望む.
林 洋港
無所属,前司法部長.前国民党副主席.
中台統一
国家は一つ.統治権は二つ.
陳 履安
無所属,前監察院長
中台統一
李総統のあいまいな態度が中台緊張の原因.

3月20日 米,台湾にミサイル供与

米政府.台湾に地対空ミサイル「スティンガー」供与決定.台湾要請の潜水艦供与は見送り.

3月21日 米上院決議

米上院も,下院同様決議.

3月23日 総統選開始

3月24日 台湾総統直接選挙

「中国世界初」の最高指導者直接選挙.アジア諸国のコメント慎重.中国に遠慮か.

中国発言「台湾は中華人民共和国の一部」から「一つの中国」へ軟化.

李総統勝利宣言,公用語の北京語ではなく台湾語で.

> 党派の利益を越えて一票を投じてくれた方にお礼したい.

中国の軍事演習の危機感のために,与党国民党ばかりでなく,野党民進党の独立派本省人の支持を広く受けて圧勝したことを指す.

民進党候補が 30% 得票すれば,選挙後国民党と民進党の連立政権が誕生するというシナリオであったが,結果的には国民党の一人勝ちになった.

開票結果

李 登輝 54.0 %
彭 明敏 21.0 %
林 洋港 14.9 %
陳 履安 10.0 %

3月27日 米艦隊撤収

26日,ペリー米国防長官

危機は今や過ぎ去った,と理解している.

中国は軍事演習を終え,自軍へ撤収した.楽観的な見方さえしている.

米国務省バーンズ報道官

米空母インディペンデンスは母港横須賀へ帰還を開始.米原子力空母ミニッツはオーストラリアへ移動.

参考文献

華声和語

[ 4/1 No. 80]
[ 3/26 No. 79]
[ 3/18 No. 78]
[ 3/12 No. 77]
[ 3/4 No. 76]

山形

月曜日に山形にいった.
山形行は合宿免許で赤湯というところにいって以来である.
今回は「つばさ」でいった.
福島まで,仙台行きの「やまびこ」と山形行きの「つばさ」が連結して行くんだけど,
「やまびこ」がやまがた行きみたいな気がしてしょうがない.
「やまびこ」がやまがた行きの方が,絶対間違えにくいと思うのだがなぁ.

山形には昔「ヤマガタダイカイギュウ」というジュゴンみたいな動物が棲んでいたんだそうだ.
漢字では山形大海牛とかくのだろうな.
山形県立博物館で,
天井から全長五メートルくらいの足がない動物の化石が吊してあって、
いかにも巨大な動物の霊のようであった.

fj.soc.war-and-peace

fj.soc.war-and-peace というところをのぞいてみたら,
竹島の話ばかりしている.
fj.soc.culture.chinese では,英語で連日,
台湾と中国の話をしてるのに,
日本人はいったい何をやってるんだろう.
ようするに,
連中はマスコミが垂れ流していることを反復することしかできなくて,
up to date な応用問題はまるで手に負えないのだろう.
そんなことで,有事にはどうするつもりなんだろうな.
fj.soc.culture.chinese では「中国と台湾が一戦交えたら」という話が毎日何百通も投稿されているのに
(無論 soc.culture.china とかとの crosspost で,具体的には、
台湾は中国の一部であるべきかどうか,という観念論が基調ではあるが),
主役であるはずの日本人は圧倒されて完全に沈黙している.
普段は声がでかい分よけいに哀れだ.
連中は結局,古文書にはこうこうこういう風に書いてあったとか,
そういう死んでる話題についてしか話ができないのだ.

3月14日,中国が実弾演習した日には,米軍と自衛隊が,
中国軍の奇襲的な軍事侵攻に備えて厳戒体制をとっていたのだそうだ.
中国軍は実際,周りで威嚇してやらないと,
ベトナムのときのようにだらだらと軍事侵攻してしまうのである.
適切な処置だったと思う.
私はアダムに,
「中国軍が台湾を攻めたらアメリカ軍と日本軍が台湾を支援するはずだから中国軍が台湾を攻めるはずはない」といっていたのだが,やはりという感じであった.
実際,朝鮮戦争当時はさておき,今現実に中国と台湾が全面戦争になったらおおごとであるから,
今のところは中国人のメンタリティというものをできるだけ正確に把握して,
威嚇するなりなんなりしてそうならないようにするしかない.
そして,実際に中国が侵攻してきたら,日米連合軍が速やかに介入して,中国軍をおっぱらう,
というシナリオしかあり得ないだろう
(今の台湾軍は昔の国民党軍ほど弱くはないだろうから,自力で人民解放軍に勝つ可能性もあるとは思うのだが).

そもそも今の中国軍なんてのは全然脅威ではない.
問題なのは,今中国を刺激することで,
十年後,二十年後に中国の経済力がいまよりはるかに強くなったときに,根にもって復讐でもしないかということである
(中国と日本,アメリカとの「相対的」な国力の違いが縮まるかどうかというのはまた別問題なのだが.
それから,日本人は日清・日露戦争なんかみてわかるように明らかに根に持つタイプだが,中国人はそうでもないかもしれない).
そうならないためにも,できるだけ中国を刺激しないのがよい.
台湾という存在は,実際アメリカの内政干渉以外の何ものでもない.
アメリカはやっぱり台湾びいきだったこと,
いざとなれば台湾を支援することが今度のことではっきりした.
そうはいっても中国を刺激するのは損だから,ぎりぎりまでしらんぷりしていたのだろう.

しかし,今回中国が軍事演習のふりをして侵攻したってそれは奇襲でもなんでもない.
周辺諸国に行動パターンを完全に読まれていちゃ奇襲とは言えない.

中国軍の行動パターンというのは,多分こうだろう.
つまり,何か気にいらないことがあればまず威嚇してみる.
日本みたいに弱腰なところはどしどし威嚇する.
アメリカみたいに戦争慣れしてるところは,
ただ威嚇しても効果ないから,弱みをついてくる.
進出企業を締め出すぞとか.

次に,国境あたりに軍を集めて演習する.
威嚇して相手がびびってるようだと,さらに威嚇する.

ここで一旦,国際世論なんか気にしてみる.
国際世論が自分に不利なようだと,
これは国内問題だとか,内政干渉だとか相手を批判してみる.

アメリカあたりの大国が,本気で介入しようという意志を見せていると,そのまま「ただの演習」だったことにして,
面子をつぶさないように撤退する.
大国の介入がなさそうだと,「演習中の事故」をよそおって戦争に突入する.

少なくともいままでの中国の動き方というのはこんな風である.
その行動パターンは,「義和団事件」や「阿片戦争」のころからあまり変わってないとも言える.
あくまでも国際社会の力関係を意識した上での動き方であり,
諸国の出方をうかがいながら少しずつ行動する臆病な国なのである.
だから,周辺諸国は毅然とした態度を示さなくてはだめだ.

中国と台湾

アダムは今月中に中国が台湾をミサイルで攻撃するという.今月中に中国と台湾が戦争を始めるかどうかという話であるが,第二次大戦後,中国が攻めた国といえば韓国,チベット,ベトナムで,いずれも地続きで,わーーと人海戦術で攻めたのである.そのうち本当の意味で勝てたのはチベットくらいしかないのである.台湾は韓国くらいには強いであろう.戦争しても勝てるかどうかわからないような相手と戦争するとは思えない.それに,台湾もミサイルは持っていて,上海はおろか武漢まで届くのだそうだ.中国が台北にミサイルをうちこめば台湾も上海にミサイルをうちこむだろう.どちらも被害甚大である.ベトナムを攻めてたころの中国には失うものなどなかったが,今の中国には戦争を仕掛けたことで失うものが多すぎる.だから戦争なんておこりようがないのである.中国はソビエトと同じで自分よりずっと弱い国しか攻撃しない.歴史的に.と思うのだが.

それに,攻めるぞ攻めるぞといってるときは攻めないで,黙っているときに急に攻めるのが戦争というものだ.そもそも奇襲なんてことができる国は50年前のドイツと日本くらいだ.アメリカなんかは,あれは議会でさんざん議論してからしか戦争ができないから,短期決戦はできるかもしれないが,奇襲なんてことはやりたくてもできない国である.そもそもアメリカは奇襲が下手なうえに,失敗すれば国民に批判されるから正攻法でやるしかないのである.アメリカなら,議会で戦争しますよ,と決まれば本当に戦争するだろう.だが,中国なら,人民会議で戦争するぞ,と言っていても戦争するとは限らない.それだけならただの脅しにすぎない.中国が戦争しようと思ってるなら,黙って国境に軍を集めるだろう.

何かで読んだ話だが,中国と台湾の関係にアメリカは介入するかどうか,という質問に対して,アメリカは介入しないと言えば中国は野心を抱くかもしれない.朝鮮戦争のときがそうだった.助けると言えば台湾は安心して中国を挑発するだろう.だから,アメリカの態度が不確定であることが平和をもたらすのだ,とアメリカの政府高官がこたえたという.一般人にはしり得ない駆け引きがあるに違いない(新聞の小さな記事まで注意深く読んでいるとある程度まではわかると思うのだが).

※アダムというのは当時同僚だったポーランド人。

新聞250年分

日経に,富士通研で,1秒間に1テラビットの光通信に成功したという記事が載っているのだが,
1テラビットというのが新聞250年分に相当するのだそうだ.
10の12乗を250で割り,さらに365で割り,さらに8で割ると約137万(バイト)になる.
新聞1部で約1メガバイト程度ということか.
フロッピ1一枚にしかならないが,そんなもんなんだろうかな.
グラフとか図とか,イラストとか,色刷ページとか,レイアウトとかフォント指定とかはどうなるんだろうな.
不思議な計算の仕方だ.

一日飯盒一杯

「広報東京都」という新聞に水木しげるの話が載っていた.
戦争中一日に飯盒一杯しか食べられなかったそうである.
飯盒一杯というのはどのくらいなのだろうか.
まさか半合ということはあるまいが.
一日にそれだけしか食べなければきっと痩せるだろう.

フランス公務員ストライキ顛末

フランスでは公務員が派手なストライキを打っていたので,これは面白い見ものだと思ってたら,いつの間にか終わってしまったらしい.日経あたりにまとまったサマリーが載るかなと思ってたら待てど暮らせど (笑) 出てこないので,自分でまとめることにした.

日本のマスコミもおかしなもんで,「交通機関がマヒしたパリ市」みたいな記事は写真入りで報道するくせに,「ストが収束した理由」とか「経過のまとめと考察」とか「公務員のストの是非」とかそういう肝心なことについてフォローがないのはけしからんではないか.と,怒っているのは私だけなのか…ぶつぶつ.

◆ 発端 ◆

11月半ばにジュペ首相が社会保障改革法案を発表. EU統合をひかえて,財政を圧迫している福祉を切捨てるのが目的.

◆ 主役は国鉄 ◆

ストは国鉄から始まり,大都市の地下鉄,バス,電力,郵便に拡大. 12月4日には消防署,病院,税関,公立学校,国有銀行,保険会社なども参加して警察などの例外を除いてほとんどの公務員がストに参加し,大騒ぎになった.またフランス全土で学生・民間労働者を含む大規模デモが発生.民間企業にもスト参加を呼びかける.多大の不便を強いられているにもかかわらず,世論調査では国民の2/3がストを支持しているっていうんだから恐れ入るなぁ.「国鉄スト」というと私には嫌悪感しかないんだが.

◆ 深刻化 ◆

シャルル・ドゴール空港では管制塔がスト.ガソリン・スタンドではガソリン売り切れ.スーパーでは買い占め.デモのため中央銀行封鎖.エールフランスなど航空会社ストに突入.国内便,国際便とも混乱.などなど.

◆ 政府の譲歩とスト終結見通し ◆

11日政府労組間の協議開始. 12日ジュペ首相は国鉄職員に対する退職年金支給時期繰上げ等を盛り込んだ国鉄改革案を全面凍結.労組は社会保障制度全体の撤回を求めるが, 15日国鉄職員の過半数がスト中止を支持.スト終結への見通しが出る.

◆ というわけで ◆

さまざまな後遺症は残しつつ,結局ストは収まり,ジュペ首相は国鉄改革を棚上げにしただけで,社会保障改革全体は守り抜いた形になった.国鉄は,率先してストを始めたからか,或いは「抜け駆け」というべきか,政府に自分の要求を入れさせることができたが,追随した他の公共機関はなんのためにストやらかしたのかわけわからんというところか.また,いろいろ批判されてはいるが,ジュペ首相は難局をうまくさばいたというので株を上げたのではないか.

しかし,フランスで国鉄民営化なんてやろうとしたらどんな大混乱になるのかねぇ.

白子

白子が旬らしいので良く食べるのである.
白子というと,鱈の白子だと思ったら,こないだは鮭の白子というのもたべたのである.
普通の (鱈の?) 白子はひだひだが一杯入ったやつだが,鮭の白子は (ちょうどゆでたタラコのように) ストンとしていて少し歯応えがある.
鱈の白子の方がおいしいと思うなっ.

或日,昼頃,可愛かずみ

がテレビに出ていた.なんか土くれの入ったシャーレもって技術者みたいな人の説明を聞いていたのだが,そのシャーレが画面一杯にズームされ,同時に可愛かずみの爪も画面一杯にズームされた.「おおっ!!可愛かずみの爪の超アップだ!」と喜んだのは私だけだったろうか.

ふたごのピータン

きのうとある居酒屋でピータンを注文したら,なんと黄身が二つ入っているやつだった.ピータンじたいあまり普段は食べないが (というか,居酒屋にピータンがあるのは珍しい),黄身二つというのは初めて食べた.もちろん,黄身といっても例のように,濃い藍色になっていたが.

ピータンを食べながらビールを飲むと口のなかがなんとなく甘ったるくておいしくないことがわかった.

上海交通大学に見学にいったときのこと,構内の掲示板にいろいろな新聞がはってあった.壁新聞がはってあるのではなくて,普通の新聞をばらして一面ずつ順にならべてはってあるのである.日経の本社ビルの壁にも日経新聞が同じようにはってあるよね.

掲示板の前を歩きながら読んでいくのだが,人民日報だけは誰も読まないらしくて,前に誰も立っていなかった.人民日報はうそばかり書いてあるので,誰も読まないのだそうである .

ある中国人の話であるが,かつて人民日報は,日付と天気予報以外はうそばかり書いてあった.そのうち,天気予報もうそを書くようになった.というのも,その日の最高気温が 35度以上になると会社が休みになる決まりなので,記事をごまかしたのだそうだ.そのうち,日付も間違ってしまったので,人民日報には何一つ本当のことは書いてないことになってしまったそうだ.

武漢ではいまでも人民服を着ている人が結構いる.昔,友人が高校の修学旅行で中国にいったときに,おみやげで人民服を買ってきてもらったことがある.その服はもともと小さかったのか,洗ってるうちに縮んだのかして,着れなくなってしまった.去年北京にいったときには,それほど人民服を欲しいとは思わなかったのだが,今回はまた欲しくなって,特に灰色の人民服が欲しくて,武漢と上海でいろいろと探してもらったのだが,もはやどこにもなくて手に入らないとのことだった.

ちなみに「人民服」という名称は中国にはなくて,あれは孫文がデザインしたので,「中山服」(中山は孫文の号)というのだそうだ.人民服を着て道を歩いている人を指さしながら,「毛沢東が着てた服」といって初めて通じた.