切腹の起源 2

いろいろ調べ始めたがさっぱりわからん.とりあえず岩波新書「武家の歴史」を借りた.わかったことといえば,平安時代の武家の源氏とか平氏とか藤原氏とか言うのは,かなりいい加減だということだ.あと岩波文庫の日本外史も借りる.頼山陽は,最初に切腹した人が誰か知っていただろうか.そういえば,靖国神社で「日本外史を読む」とか言う講座をやってたような気がする.

ちょっと検索してたら徳川慶喜所有の日本外史の版木で作った火鉢と言うのが出て来た.うーむ.たとえば ここ には「尊皇攘夷運動のバイブル「日本外史」」とか書いてあって,まさにそうなのだが,倒幕された側の慶喜がその版木で火鉢を作って使っていたとは.どういう心境だったんだろうなあ.慶喜が駿府に移って住んだ寺にあったものだというから,ほんとに使ってたんだろうな.昭和 15 年に失火したときに,住職が庭に放り投げて守ったとか書いてある.

ところで上の二つの頁はどちらも ntt.co.jp なのだが,NTT って郷土の歴史に力いれてるのかなあ.

切腹の起源

切腹は日本固有の風習だと言われている.
日本人以外に切腹という自殺方法を発明した民族はいないのである.
十八史略などを読むと,
武人はたいてい喉に刃物を当てて,
前に倒れて自分の重みで自決している.
これは西武劇で拳銃で自殺するのと意味的には大した違いはない.
作法として形は決まっているが,極めて合理的な死に方である.

で,誰が切腹を発明したか.
誰が最初に切腹して死んだのだろうか.
という疑問が沸いて来た.
おそらく戦国時代に何かのきっかけで急に普及したんじゃないかと想像したが,
goo で調べても大したことはわからない.
図書館に行って調べてみると,
なんと平安時代からあり,
源平合戦のころには既に一般化した,
とものの本に書いてある.
1000 年の長きに渡って日本人は切腹して来たのである.
明治政府によって非合法化されたが….

平安時代から,ということは,
日本に源氏,平氏という武家が登場したと同時に切腹も生まれたということだろう.
じゃあ最初に切腹した人は?
源氏か平氏か.
その原初的形態はどのようなものであったのか.
どのような経緯で普及したのか.
いつから介錯人が付くようになったのか.
まだ何もわからない.
もしかすると,もっともっと大昔からあったのだが,
武家が正式の自殺方法として採用しただけなのかもしれん.
もともとは宗教的な意味があったかもしれんなあ.
江戸時代の作法については詳しく書いたものがあるようだが,
起源がわからん.

ところで最後に切腹した人は三島由紀夫(の介錯人?)だろうか.

カオス

昨日は友人が遊びにきた.聞き取りにくい携帯電話で話をして,僕が「松陰神社前で待つ」と言うと,「改札はどこにあるのか」と聞くので,「世田谷線の駅に改札なんかない.ホームしかない」と言うと,なんか納得できないふうだった.世田谷線には終点の三茶と下高井戸にしか,改札はない.彼は世田谷線のことを時代錯誤だとかアナクロだとか言った.それはひどい.せめてレトロとかアンティークとか言ってやれば良いのに.世田谷線の電車の内装は,壁も床も板張りだ(樹脂のもいくらかはある).

吉田松陰の墓にお参りした.もう日が暮れて神社の門が締まってたので,こそこそと入りこんだ.安政の大獄で,みな三十代で(つまり僕くらいの年で)獄死したのだった.吉田松陰はちょうど三十才で死んだ.思い残したことややり残したはあったのかなかったのか.僕なんていまじゃ Linux くらいしか生きる楽しみがない(Linux だって別にしいて生きていたいほど好きなわけではない).などとふと思った(単に落ち込んでるだけかも…).つい一週間ほど前に携帯電話を買った,とても便利だ,などというので,つき合っている人でも出来たのかというと,そうだと白状した.ふむ.それじゃ簡単に死ぬわけにもいかないね.

僕が死んだら親が悲しむだろう.僕はつくづく退屈な人間なので,彼女が出来ても話すことがない,遊びにいくところがない,それで納得してくれるならつきあっても良いのだが,それだといっしょにいる甲斐がないから,何もしない方がましかもしれぬ.困ったものだ.そもそも僕は電話をしても長電話はしない.たまにすることがあっても特殊なケースで,それを毎日繰り返すなどというのは,あり得ない.これからそういう性格になることもないと思う.昔からそうかというとそうでもなくて,中学生のころまではよく話す方だったのだが.

僕のカオスのとらえ方はちと違っていたようだ.カオスというのは,力学系の話なので,
初期値によって挙動が全く違ってしまうようなのをカオスと言うのだと言う.それはまあそうなのだが.カオスというのは無秩序に近いものであり,無秩序と秩序の間にあるのは複雑系というのだそうだ.ふーん.

千夜一夜物語

実家に「千夜一夜物語」があったので,退屈だったので,
読みふけった.
妻に裏切られたどこぞの王様が,
「貞淑な妻などいない」という観念に因われてしまい,
処女と同衾したあと浮気できないように殺すということを,
毎晩繰り返していたという.
ところが面白い話の続きを聞きたくて千一夜の間ある娘の話を聞いていて,
しまいにはこの娘を許し,正式な妻としたという話.
うーん.つまり「「貞淑な妻などいない」とは言えない」というのが,
結論なのだろうかなぁ.

この娘はシェーラザッドと言うのだが,
千夜一夜物語の特異なところは,
話の中の登場人物がさらに物語をし,さらにその話の登場人物が
さらに物語をし…,という入れ子状態になっているのである.
登場人物が複数の物語をすることもある.あうち.
シェーラザッドをルートとする木構造になっている.
きわめてややこしい.

シンドバッドの冒険なんかもこれの一部なんだろうが,
ディズニーにかかると,清く正しい恋愛物語になっちまうんだな.
これが(見てないから知らんが).
不倫と偏見の物語が勧善懲悪ものに改作されるのだな.
アメリカ映画にありがちのパターン.
「Trust me!」とか言っちゃって.
きゃー恥ずかしい.

これを訳して紹介したイギリス人のバートンという人も,
ずいぶん屈折した人だったのではないかと思う.
当時の,黒人やアラブ人に対する西洋人に固有の偏見というものが
かなり混入してるのではないか?
それとも原作どおりなのだろうか?
これを読んでて「家畜人ヤプー」を思い出した.
おそらく「ヤプー」は千夜一夜物語の影響を受けたものだろう.

ムッソリーニ

「ムッソリーニ」という映画を借りる.
イタリア映画的美しさがある.
しゃべってるのは例によって英語だが.
これ見てると,ムッソリーニって,それほど邪悪な政治家ではない.
と思えてくる.
イタリアという,類まれに自由奔放な国で.
個人主義的な国で.
怠惰で.退廃的で.
政治的にはぐちゃぐちゃで.
そんな国で 1922 年に 39 才で首相になった,ムッソリーニというおっさん.
これだけでも他の独裁者,たとえば,スターリン,
ヒットラーなどとは性格的に違うものになって当然だと思える.

汽車を時間どおりに走らせようとしたり,
密造酒を取り締まったり,
昼寝をやめさせようとしたり.
すっかり堕落した古代ローマ人の末裔を勤勉な民族に変えようと思えば,
多少手荒な手段は必要だっただろう.
でもラテン人をピューリタンのような勤勉な民族に作り変え,
イタリアを第 2 のローマ帝国にしたてあげる,というのは,
もともと無理があったような気はする.

ドイツという,がんらい謹厳実直な気風の国に,
ファシズムが台頭し,
ヒットラーという精神的にいびつな人間が指導者となったのは,
イタリアにとって不幸なことだっただろう.
ヒットラーはムッソリーニにすりよってきた.
ヒットラー政権.ムッソリーニに遅れること 11 年.
ヒットラーはムッソリーニを尊敬していたが,
ムッソリーニはヒットラーを気にいらなかったようだ.
結果的にイタリアはドイツと同盟し,
日本も調子にのって同盟してしまった.
うーむ.なんという不幸だろうか.

豪姫

豪姫という映画を借りて見た.
原作は富士正晴という人だ.
富士正晴なんて誰も知らないと思うが,
伊東静雄関連で知っていた.
で,先にその文庫本を買って読んだのだが,
カバーに宮沢りえ主演で映画化されたということが書いてあったので,
それでその映画の存在をしったのであった.

思ってたよりはずっと良くできた映画だった.
すじがきはかなり原作に忠実で,ごく地味なもので,
なんでこんなもんを映画化したのかと思うくらいで,
まあ宮沢りえの絶頂期だからこそできた冒険のようなもんかもしれん.
でも私はこの映画は好みだなあ.
地味な中に戦国の美しさが現れている.

仲代達也が古田織部の役なんだが,
なんとも恰好良い.
「大地の子」や「秀吉」の仲代達也も良かったが,
この「豪姫」の仲代達也も,実にかっこいい.

第一首相

カンボジアの第一首相とか第二首相というのは,
なんかおかしな呼び名だなあ.と私は思ったのだった.
なぜかというに首相は The prime minister であって,
本来,第一大臣という意味だ.
気になって英字新聞を読んでみたら,
なんのことはない,
The first prime minister, the second prime minister
というのだそうだ.
うむ.事実は小説よりもつまらない.

まあ,どうでもいいことなのだった.
でもきっと一部のラテン系の言語だと,
La prima prima ministro (どこ語?)となって具合が悪いのではないか.
でも,序数の階層化なんて,珍しくもないか.

三茶都議選事情

うちのとなりは今マンションの建設工事中だ.
朝 8 時きっかりにラジオ体操.
そのあと朝礼らしきもの.
それから工事開始でずいぶんやかましい.
それと同時に活動を開始するのが「女性党」だ.

女性党,女性党,世の中はこのままでいいのでしょうか.
私達は立ち上がりました.
やさしくおもいやりのある政治を…

やさしくおもいやりのある政治をやろうってんなら,
朝 8 時から街宣すんなっ!
ぼけ!

青年自由党.
これはなかなか気持ちが悪い.
「私達は日本の歴史を大切にします」
うん,ここまではいい.
「これまで日教組の先生方は,日の丸や君が代を否定してきました」
うん.私も日教組は嫌いだ.
特に高校んときの現代社会の教師が,
授業中に思想教育まがいの蘊蓄たれてんのがすっげーいやだったなあ.
批判の能力も機会もない高校生に一方的に価値観おしつけんなよな!
それはそうと.「親孝行しましょう」

なんだそれは.
親孝行と国の政治をどう結びつけようというのか.
党の旗というかのぼりを,
応援団か何かのように,
腕を垂直に前に出して,直立不動,大事そうにもっているのである.
これはけっこう気持ち悪い.
さらに,拡声機を使わずに,スローガンを叫びながら大勢で
行進してるのである.
うーむ.
どうしてそんな極端に走らなきゃならないかな.

共産党は,支部の一階にシートを敷いて,
近所のおばさんらしい連中がなにやら内職風の作業をしてる.
そういう手作り的というか,家庭的雰囲気を人にみせびらかす必要があるのか.
無理に演出しているようで,かえって不快だ.
共産党は,
自分だけが野党でありつづけることに存在意義を見出しているかのようだ.
それも何かいやだ.

この共産党の支部はうちからすぐそこだが,
ときどき共産党を攻撃する街宣車がきて,
いいたいことをひとしきり大声でしゃべりまくる.
そういうことがときどきある.
これもなあ.
共産党を批判したい気持ちは分かるが,
あまり効果がないような気がする.
かえって同情ひいちゃうんじゃない?

公明党関係の知り合いから電話が来た.
いまは「公明」って言うんだっけ?
新進党との関係はどうなったんだ.
電話で勧誘して,どうしようってんだろう?

日本赤軍の女

昨日週刊アスキーを GET しようと思ったら見当たらない.
もしかして今日発売?
体が週刊誌を読みたい状態になってたので,
仕方なく週刊新潮と週刊文春を買う.
週刊新潮「たかが,されどテレビ」というコラムで,
ある日本娘がテルアビブ空港でテロリスト扱いされたという話.
他の乗客と隔離され,
兵隊のような男に銃を突き付けられたまま連行され,
飛行機でもずっとその兵隊と一緒だったそうだ.
そりゃあ生きた心地もしなかったでしょうね.
なんでも化粧もせずスッピンだったので日本赤軍に間違われたそうな(大爆笑).
久しぶりに笑かせてもらいました.
きっとマニュアルに書いてあるんだな.
こうこうこういうみなりの日本女性は日本赤軍だ.
とか.
男だとサラリーマン風を装った方がいいんのかな.
私も一度シカゴ空港で捕まったことがあって.
エディーマーフィーみたいな顔の警備員に
「domestic airline はどこですか?」と聞いたら,
どうもみなりがみすぼらしすぎたのがいけなかったらしいのだが,
「何日滞在するんだ」
「一週間です」
「荷物が少なすぎる.服はどうする」
「そのうち買います」
とかってしばらく尋問されて,
国際会議の資料などを見せたらようやく信用されたのでした.
私は荷物は最小限にして服は現地調達.
帰りにおみやげ代わりにもって帰る.
という方針なのですね.

しかしこの女性は敬虔なクリスチャンだったそうで.
かわいそうな話ではある.
外国では化粧をしない清楚な日本女性とは思ってくれないんだなぁ.
化粧はどのくらいすればいいかって私の好みでいえば,
口紅とクリームくらいかな.
匂いのきつくない.

今朝の日経では,どうも大使館関係者らしい人が,
イスラエルのオスマントルコ時代の鉄道の跡をいろいろ探して廻ったという
物好きな話が載っていたが,
あちこちでパレスチナ人やイスラエル人に尋問されたという.
物騒な話である.
列車にはマシンガンを持った治安要員が二人乗っていて,
爆弾が仕掛けてないか,床にはいつくばって調べるんだそうだ.
いやはや物騒な国だ.

これは週刊文春の方の記事だが.
役所広司という人は私と同郷,つまり諌早の人らしいのだが,
それはともかく.
「うなぎ」がグランプリを受賞したのは,
フランス人がアメリカ映画を嫌っているからだ,と受賞した監督が言っていた.
ふーん.
まあアメリカ映画は純粋に娯楽だから.
こないだ「ツイスター」見たけど.
なんも考えずに楽しめるわな.
子供の離乳食みたいなもんだ.
この監督はお金をかけた映画というもんは肯定してて,
お金は使わないよりは使った方がいい.
どんどん集めてどんどん使ってどんどん儲けてどんどん作るべきだ.
と言う.
私も,お金のかかる研究は否定しない(笑).

追記: 尋問されたのは、みなりというよりは、ホテルの予約がなかったからだろう。